昨日のログアウト前のこと・・・。
「レアさん、いよいよアレをやりますか」 と、タルフレの言葉。今日はその約束を果たすとき。
──ここはザルカバード。
遠くに見えるズヴァール城にはあの闇王が眠るとききます。
ミッション5-1
「廃墟フェ・イン」をクリアしたあと、
タルフレと私はまだ見ぬ闇王に挑戦する時期をどうしようかと話していました。
「出来たら一度は自分達だけで行きたい」「うん、私もそう思ってた!」「おおー!じゃあ、レベルは・・・60で挑戦するのはどうかな」「60ならAF装備しようよ。ジョブの正装だし、謁見って感じする」こんな感じで盛り上がり、私達は密かにそれを目標にしてきました。
レベル60という目標を設定したのは、
そのくらいのレベルで二人で行くなら、強い闇王を味わいつつ、
且つ、自分達も少しは粘れるんじゃないかという淡い期待を込めての設定でした。
「廃墟フェ・イン」クリアから約半年。
タルフレと私は昨日とうとう闇王のいる場所へ向かう目標を達成しました。
二人でフルAFになって記念撮影。タルフレのフルAF姿もここでお披露目です。
それでは、ズヴァール城にいってきまーす!
ズヴァール城に入って一度ヒーリング。
「なんか緊張するね」 「うん、でもルートはバッチリ!」 「頼もしい〜」少し雑談をしているうちにMPが完全に満たされて私が立ち上がりました。
さぁ、いよいよスタートです。
「よーし、闇王に会いにいくぞー!」「おおー!」スニークとインビジをかけて走り始めた二人。
・・・ん?タルフレがいない・・・。
ふと右下のパーティメンバーの所を見ると・・・あぁ、納得。
「方向間違えた」タルフレがいたのはザルカバード。なんと逆走してしまったみたいです。
さっき「ルートはばっちり」なんて言ってた人の行動とは思えません。
ちょっぴり波乱を予感させるスタートでしたが、改めて入り口から再スタート。
既に入り口付近の敵は「楽」なのですが、絡まれると厄介なので隠密行動です。
インビジがかかっている為に見えないタルフレを時々ターゲットしながら進んでいたのですが、
途中からタルフレがターゲット出来ません。
マップを見ると私とは真逆のルートをとっています。
「北ルート通ってるんだね」「あれ、レアさんは南?」「うん。どうやら内郭まではあえて合流しない方が良さそうだから、内郭で会おう」「おう!気をつけてー」「そっちもね〜」内郭までの一人旅。実は初めてでした。
途中の立体交差のような場所で大回りしてしまったものの、先にタルフレが、そして私の順にズヴァール城内郭へと足を踏み入れたのです。
ここに来たのはまだ二度目。
タルフレの黒AFクリアの為に来た時以来です。
あの時は丁度といった敵だらけだったのが、
一応見た目は「楽」表示に変わっています。
あぁ、成長したんだな。
やはりそう感じます。でも、相手にしたくないのは相変わらずです。
この先の最初の関門はいくつも連なる小部屋です。
小部屋はそれぞれ扉で区切られており、
扉を開ける為にはインビジを解除していかなくてはなりません。
当然、扉のそばには沢山のアクティブモンスターがいるのです。
この扉を開ける役目は私がする事になりました。
最初の扉では扉の手前に複数のゴブリン、扉の向こうにも複数のゴブリンという状態で、
一番扉を開けるタイミングを見るのが難しかったです。
あとで考えればここが一番の難関だったかもしれません。
それ以降の小部屋では狭い部屋に一体しかゴブリンがいない(それも楽)ので
少し安心したのですが、インビジを切って扉を開ける瞬間は本当に緊張します。
開けた先の部屋のゴブリンがこっちを向いている時なんて必死で身を隠していました。
なんとかやり過ごしていたのですが、とうとう見つかってしまって戦闘に。
タルフレは既に扉の向こうに行ってしまったあとでした。
私が戦闘を始めた事で焦るタルフレ。
「レアさん!早くここあけて!!!」必死なタルフレに私は笑いをこらえながら言いました。
「そっちから開かない?」ゴーッという扉が開く音と共に、
タルフレが私が戦っている場所にやって来たのは言うまでもありません。
「こういう場所の扉は一方通行って相場は決まってるから・・・」と、やや苦しめの言い訳をするタルフレに笑ってしまいます。
小部屋ゾーンを抜けると、
次は連続ワープのゾーン。
さほど難しいワープではないのですが、
何秒かごとにワープが使えたり、使えなかったりと切り替わるシステムで、
周囲にデーモンがいる状況なので発動まではちょっとドキドキ。
さらに、ワープした後はインビジの効果が切れますので、急いでインビジをかけなおす必要があります。
実際にはワープ先の真横にデーモンがいた!なんて事はなかったのですが、
やはり自分の向かう先が見えないというのは不安で仕方ありませんでした。
最後のワープを抜けてあとはひたすら奥へと進むだけ。
ようやく私達の目の前に「王の間」に続く扉が見えてきました。
「はいるね」「うん」扉を開けると画面は暗転・・・。
そして目の前に広がった景色は、小雪の舞い込むエントランス。
禍々しい床と扉の模様。
雪煙で周囲の様子がよく伺えないものの、
中央にはまっすぐに闇王の元に続く通路が存在します。
見上げた空は極寒の地に相応しい灰色の空。
その空にかすかに浮かぶ陰が、高くそびえ立つ闇王の居城である事が分かりました。
初めて立つ王の間で、私達は・・・
記念撮影をしていたのでした。
<後編につづく>PR