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2024/11/23 14:17 | Comments(-) | TrackBack(-) |
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メリーの秘密
(私の名前は「メリー」。ロンフォールに住む一頭の「Wild Sheep」。

今日は皆さんにロンフォールに生きた私が見てきた
冒険者達の歴史を色々とお話したいと思ってやってきたんだけど・・・。
ちょっとそれどころじゃなくなってしまってね。
もう丸一日こんな状態だから、自慢の毛皮もボロボロだし困ったわ。

あら・・・あっちから冒険者が来たわ。
ターゲットして「Ctrl」+「C」! ふむふむ詩人さんね。
革スキルは・・・大丈夫、私の皮は必要なさそうね(注1)
イチかバチか声かけてみようかしらね。)

「ねぇ、そこの詩人さん。ちょっと来てくれないかしら?」

詩人はキョロキョロと辺りを見回した。周囲はやや暗かったが、
闇の中でぼんやりとうかぶ白い毛から、そこにWild Sheepがいることに気が付いた。
しかし、詩人は家路を急いでいた。
一瞬立ち止まったが、また走り始めていた。

(やだ、あの詩人私を無視したわよ!どうしようかしら、あ、そうだ!)

「ちょっと、そこのかわいい詩人さん?お願い事があるんだけど」
「はい、なんでしょう^^^^」

(作戦成功。なんて簡単なのかしら。)

詩人は周囲の警戒をしながら、そのWild Sheepに近づいていった。
メリーの置かれている状況に笑いをかみ殺しながら、
木々の多いロンフォールではよく見る風景という事もあり詩人は冷静だった。

「どうかしました?」と冷静に尋ねる詩人に対して、
「見れば分かるでしょ!」と苛立ちを隠せないメリー。

出会い


(私だって好きでこんな所いるんじゃないのよ。
ただちょっと木の上を通れるかしらって遊び心で試しただけなのよ!
そうしたら、足を踏み外しちゃってこのザマ。あぁ、恥ずかしいったらありゃしない!)

ぐるりと一回りしてみる詩人。
あまりにも見事にすっぽりとおさまっているメリーを見て、
それまでこらえていた笑いを抑える事が出来なくなっていた。

困りましたねぇ

「もう丸一日こんな状態なのよ」と半べそのメリー。

そんなメリーを見て気の毒に思った詩人は、助けてあげる事にした。
まずはその背後から必死に押してみたり、
倒木を揺らしてみたり・・・と懸命にがんばっていた。
しかし、ガルカの様な体力も、エルヴァーンの様な長身も、ミスラのような身軽さも、
タルタルの様な器用さもない彼女には、
その倒木は大きすぎたし、高すぎたし、上ることも出来ないし、切る事もできなかった。

(お願いする種族間違えちゃったかしら・・・
大体さ、"かわいい詩人さん"なんかでひっかかってくる奴にロクなのはいないわよね。
私としたことが大失敗だったわ。あー、もうじれったい。)

ふと詩人がポンッと手を打った。
「一つ方法が見つかったわ!」
「なになに?早く私を下ろして」

よし、決めた!

「でも、その方法はかなりの精神力が必要なんです。」と神妙な面持ちになる詩人。
メリーにしてみれば、丸一日ここで耐えていたのだから、もうなんだって受け入れる覚悟だ。
「私なら大丈夫よ。さぁ、早くここから下ろして。」

「いいですか?約束して下さい。
下に下りた時、必ず最初に"<レア>"と私の名を呼んでね。」

「お安い御用よ」
「あなたの名前は?」
「私はメリー」
「メリー。必ず最初に呼ぶのよ?」
「大丈夫よ<レア>。それより早く下ろして。」

(何をするつもりかしらこの詩人。
まぁいいわ。下りさえすれば晴れて自由の身。
やっと皆さんに冒険者の歴史についてお話もできるし。
あ、そのときはこの詩人も加えてあげようかしらね。
語り部メリーを助けた冒険者ってしておけば、
そのうちジュノ辺りまで名声がとどろく事でしょう。)

「少し痛いけど我慢してね」そういって詩人はおもむろにコルネットを取り出して吹き始めた。

ここは詩人らしく・・・


(ギャーなによ!この音色!へったくそ。私のシープソングの方が100倍マシよ!)



「魔物のレクイエム!」詩人が演奏する。



その音は、完璧にメリーの耳を捉えた。
その音はメリーを倒木から浮き上がらせるには十分な威力だった。

メリーはようやく地面に降り立つ事が出来た。
「やった〜〜」嬉しさのあまり声をあげた。

「メリー?」
グルルルルル・・・ドスッ!
<レア>に12のダメージ。

(ちょ、ま、まった!!!私、攻撃する気なんてないんだってば)

身体が勝手に動いてしまう・・・。
メリーは詩人との約束を思い出していた。
「最初に必ず詩人の名を呼ぶ」という約束を。
「魔物のレクイエム」は受けた直後にその演奏者の名前を最初に唱える事で解呪出来るのだった。

こうなってしまうと元々は冒険者とモンスター。
詩人は短剣をスッと抜いた。

勝手に!?


メリーから見ると「つよ」の冒険者。
(あぁ〜あ、もう少し弱っちいのにしておけば良かった)

「ちょっと、厄介なことしてくれたわねぇ」
「これしか方法が思いつかなかったのよ」
「もっとINTの高い種族に頼めばよかった」
「悪かったわね」
「ちょっとあんたの短剣の扱いもダメね〜。チクチクするわ!」
「毛を刈ってるのよ!」
「あー、毎日暑いものね・・・ってそうじゃなくて!
羊毛は私の毛皮2枚を風クリでシュワーンとするのよ。常識よ?」

「だって、それじゃスキル上がらないんだもん」

メリーのHPも詩人のHPも半分近くになり、
形勢はやや詩人に分がある状態だった。

「ちょっと、いい加減に倒してもらえないかしら?」
(私の計算ではそろそろのはず・・・)

メリーはこれまでも何度も色々な冒険者と戦って来た。
だからこそ、「その時」が来るのを予感していた。

「いいの?」と詩人。
「ええ、思い切りぶつかってきなさい!」と答えるメリー。

詩人は少し考え、そして気合を入れた。

「食らえ!伝説の短剣技・・・!」

一瞬、メリーは目を閉じた。








「ワスプスティング!!!」

必殺技!


メリーに6のダメージ

「へ?」
「ごめん、まだLV12だから・・・」
「あぁ、そういう事ね」
「うん」

「じゃ、地味だけど通常攻撃で倒されてあげるわ」
「ごめんね。なんか地味で。」
「いいのー、気にしないで」

詩人の最後の一太刀は偶然にもクリティカルになった。

そうして、ロンフォールのメリーはまた一人の冒険者を育てた。
これが彼女の見てきた冒険者の歴史の一つ。

結末


「ふふ・・・また、倒されちゃった」
そう笑みを浮かべながら、メリーはロンフォールの地から消えていった。

ロンフォールのメリーは、こうして冒険者を一人育てると、
数日後、コンシュタットの丘で「Stray Mary」として生まれ変わり、
さらに強い冒険者を育てる役割を担っているのだそうだ。

ラテへ向かう途中の倒木で、ひっかかって助けを求めている羊がいたら、
それは冒険者を育てる為に生まれた「メリー」かもしれない。



─Fin.







注1:実際の「調べる」コマンドでは合成スキルを見る事は出来ません。


面白いSSが取れたので、なんとなく書いてみただけです。
なんか何を言いたいのか分からないお話でごめんなさい。
もちろん、メリーの設定などは全てフィクションです。(ペコリ)
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2005/07/10 00:00 | Comments(0) | TrackBack() | [FFXI]-ショートストーリー
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