■これまでの足跡
1.
私の足跡〜ロンフォール地方〜 (東ロンフォール→西ロンフォール→)
2.
私の足跡〜ザルクヘイム・その1〜 (バルクルム砂丘→ラテーヌ高原→)
3.
私の足跡〜ザルクヘイム・その2〜 (コンシュタット高地→)
4.
私の足跡〜グスタベルグ地方〜 (南グスタベルグ→北グスタベルグ→)
5.
私の足跡〜サルタバルタ地方〜 (東サルタバルタ→西サルタバルタ→)
6.
私の足跡〜コルシュシュ地方〜 (タロンギ大峡谷→ブブリム半島→)
7.
私の足跡〜ノルバレン・その1〜 (ジャグナー森林→)
8.
私の足跡〜デルフラント地方〜(ロランベリー耕地→パシュハウ沼→)
9.
私の足跡〜アラゴーニュ地方〜(メリファト山地→ソロムグ原野→)
■ バタリア丘陵(描かれているのはエルディーム古墳)
ジュノへ初めて向かった時、ジャグナー森林を抜けた後の開放感から
飛び出すように走って行ったこの場所。
走り出したのはいいけれど、トラが我が物顔に歩く様を見て、
慌てて岩盤沿いに身体を擦り付けるように進んだ事もあった。
いつの間にかここの住人とも渡り合えるようになった頃、
最後の石碑を巡ろうと私はほとんど足を踏み入れた事のない古墳へと赴いた。
「石碑はあの小島にあるんだよ」と他の冒険者から初めて話を聞いた時、
小島から見た景色が楽しみで仕方なかった。
古墳内部の複雑な仕組みを抜けてその先に微かな光が見えたとき、
疲れたその歩みはまた弾み始める。
ロランベリー耕地にかかる「ボーリスブル卿の橋」が朝陽を背にその形をくっきりと見せていた。
■ 旅の終わりに・・・。最後の碑文を写し取り、一息つく。
セルビナへと赴き、この碑文を写してきて欲しいと依頼をしてきた町長の元へ行く。
「これが最後の碑文です。確認してください」
「うむ。ご苦労じゃった。これが報酬だ」
この町長との付き合いも随分長くなった・・・。
「お前さんがここに来た時は、まだまだ駆け出しの頃だったな」
まだセルビナに来るのもやっとだった頃。
チョコボなんて乗れなかった。
他の冒険者から「セルビナの町長は気前が良い」という話を聞いて話しかけたんだっけ。
最初は石碑を写し取るなんてとても簡単なことだと思ってた。
「私も随分成長しました」
町長は人懐っこく目を細めた。
それに応えるように笑顔を返した。
町長の依頼はただ石碑を写してくるだけではない。
それが今の私には分かる。
この世界の歴史を、文化を、地理を・・・、
真っ直ぐ進んでいては見る事の出来ないものを、
そこに至るために手を貸してくれる人々との出会いを。
依頼という名前を借りて得たものはこんなに沢山ある。
「今度はお前さんの冒険を綴るといい・・・世界はもっと広いんじゃから」
町長はそう言って上質の羊皮紙を渡してきた。
「さすがに新たに石碑を刻まれたんじゃ、石碑ばかり増えてわしも困るからのぉ」
高らかに笑いながら私の手をぎゅっと握った。
「これからも沢山の物を目にするじゃろうが、お前さんなりに進んでいけばいいんじゃよ」
「またね、町長さん」
最初に・・・最初に私が向かったのは私の足跡のスタート地点、故郷のサンドリアだった。
今、私は自分のモグハウスでアイアンハート親子の石碑を辿った旅を
ようやく書き終えたところだ。
ペンを置いて軽く伸びをし、椅子を引き立ち上がる。
「ちょっと出かけてくるね」
「ご主人様、今度はどこへ行くクポー?」
「さぁ?」
「せめて帰るときは連絡欲しいクポ・・・」
「はいはい」
「食事の用意とか大変なんだクポー!」
「わかったから〜。いってきまーーす!」
今、アイアンハート親子も行けなかった場所に私は立つ事が出来る。
いつかそこに石碑が立つかも・・・しれない。
〜Fin.〜
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「私の足跡シリーズ」は今回で終了です。
当初は自分の体験などをちょこっと振り返りながら書くだけで、
ラストをこんなオチにするつもりは全くなかったのですが、
「旅の終わりに・・・」を何度も書き直している内に物語の終わりの様になってしまいました。
最後は当然フィクションですが、
各石碑のSSと共に書いた文章は確かに私の足跡です。
地球時間でおよそ二年かかった石碑クエ。
それだけに、終わったときはもっと何かあるかと思っていましたが、
アッサリとクエストが終わった事にちょっと意表を突かれてしまいましたね。
※ シリーズ終了に伴い、本シリーズを別カテゴリに移動させました。
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